代表取締役 柏原泰則
INTERVIEW #01
代表取締役社長 / 柏原泰則
子供たちの「わくわくドキドキ」と
「安心」と「安全」と
元々ビューロという会社に所属しながら、このOAKインターナショナルを興しました。20年以上前の話しですが、弊社のメインの取引先であるバンダイさんから「中にマスコットの入った入浴剤を一緒に作りませんか?」という提案を頂いたところからスタートしました。実績の無い我々にそのチャンスをくださったバンダイさんには今でも非常に感謝していますし、そのおかげで、中国など外国でモノを作り、完成品を日本に入れるというビジネス形態のきっかけを作ることが出来たと思っています。
またそれを通して「子供たちのわくわくドキドキを商品に変換していく」という楽しさを、ビジネスとして行えるという喜びもあります。同時にお客様であるご両親が安心に、お子さんが安全に遊べることについて、常に非常に厳しく考えています。「安心」と「安全」、それから子どもたちの「わくわくドキドキ」の楽しさ、これらをどう両立していくかという葛藤もあります。玩具としての大事な柱である安全性と、薬事法を遵守して商品を作っていかなくてはいけないという二つのレギュレーションを同時に守って進めていくこと、理解しながら開発していかないと形を失ってしまうという特性は、我々の会社の在り方そのものではないかと考えています。
昭和37年設立のビューロが支えるサービス
ビューロは先代の社長が技術者で、口紅にマニキュア、クリームに乳液などコスメティックスを中心に、当時から非常に多岐に渡ってモノを作れました。設立は昭和31年なので、来年で68年目を迎えます。僕は先代の社長の次女と結婚しました。
元々は全然違う仕事をしていましたが、僕が早くに両親を亡くしたこともあり「仕事を手伝ってみないか?」と義父である先代の社長から声をかけて頂きました。僕が30歳くらいの時ですね。それまではガラスの食器メーカーで働いていました。今の仕事と共通点はそこまでありませんが、中々面白かったです。でもターゲットの選定や、誰もが知っているようなキャラクターの商品も扱っていましたから、共通点もありましたね。
大ヒット商品「フィギャア入りバスボム」の誕生
最初は他のお客様のOEMで、ゲームの景品として「透明石鹸の上にソフビの人形を乗っけたようなものを中国で作れませんか?」というご依頼がありました。それで中国に行って工場を選定している時に、丸いカタチのバスボールが置いてあるのを見た瞬間「この中からキャラクターのマスコットが出て来たら面白いだろうなあ」と思い、早速お客様に提案しました。
そうしたらそのお客様が使用許諾を取りに行ってくれて「準備が出来たら一緒に作ろうね!」と言っていた頃に、それがバンダイさんの社内のアイデア大賞で銀賞を取ったものだと知りました。僕たちと全く同じことを考えていたことに驚きましたね。その時ちょうどお取引もあったので、それで一緒にやったのが始まりですね。
初回は注文に対し、生産計画の1%も生産することが出来なかった(笑)
おかげさまで「フィギュア入りバスボム」は去年で20周年を迎えましたが、最初は苦難のスタートでした(笑)。嬉しいことに、初回からたくさんのオーダーを頂きました。ただ、当初長期間の納期を取ってもらって少量の生産計画から作れるようになってから伸ばしていこう」と考えていました。実際やってみると全く生産計画通りにいかなくて。その時僕は木曜日に中国に飛んで、金曜日から月曜日まで向こうの工場で仕事して、火曜日に帰国して、水曜日木曜日とバンダイさんに通って、また中国に飛んで戻るというサイクルで仕事をしていました。一人でやっていましたよ。
工場から「凄い量を作れるようになりました!先週の5倍です!」って言われたんですけど、それでも全然生産計画には届かないんですよ。バンダイさんには都度進捗の報告もしましたけど、冷や汗を掻きましたね(笑)。でも何とか納期に間に合いました。
その後結局中国に「フィギュア入りバスボム」専門の工場を作ることになり、新しいIPは、僕の営業人生で今までを大幅に上回るオーダーを頂いたんですよね。本当に嬉しかったです。
「トラブルはノウハウの宝庫です」
その後だっていろいろトラブルはありましたよ。仕事にトラブルやクレームは付き物ですし、「トラブルやクレームはノウハウの宝庫だから、逃げずに乗り切ろう」と今でも社員には言っていますね。再発防止のためのノウハウを蓄積し、問題点を整理して対策を講じることを今でも徹底しています。ミスを犯してもまずは「逃げないこと」、そして「嘘をつかないこと」。
この二つは徹底せねばなりません。まあウチは小さい会社なので、社員にも「のびのびやれ」と伝えています。また「最後にケツを拭くのは俺だ。最後に謝るのも俺だ。だから悪い報告は先にくれ」とも伝えています。現場の叩き上げとして、様々なことを経験していますから、何か起きても早めに伝えてくれればだいたいは解決できますよね(笑)。
「明るく楽しく忙しく」をモットーに。あとは偉そうにしないこと(笑)。
おかげさまでコロナ期間中もずっと忙しくしていました。社員にも工場の皆さんにも言っていることですけど「明るく楽しく忙しく」これをモットーにして欲しいんです。何かあっても皆でカバーし合うこと、一つの船に乗って向かう方向を皆に理解してもらって、「明るく楽しく忙しく」仕事してもらえるといいのかなと考えています。あとは偉そうにしないことですね(笑)。我々にとって販売先だけではなく、仕入れ先も大切です。
ですから仕入先に対して横柄な態度を取るのではなく、「一緒にモノを作ろう!」というスタンスをこれからも大事にしていきたいし、社員にも大事にして欲しいですね。自分が本当に困った時に助けてくれるような仲間は多くあった方がいいと思いますし、仕入れ先の会社さんとも販売先の会社さんとも良い関係を築いていきたいですね。
20年間成長を続けています
「フィギュア入りバスボム」はドラッグストアを中心に展開をしており、販売個数は現在も成長を続けています。他にも様々なキャラクター商品を製造していますが、種類や商品数が多すぎて、勿論成長を続けてはいますが、全てを把握することは出来ないです (笑)。
変な話、中身は一緒で期間ごとにキャラクターが変わったりしますから。リップクリームにハンドクリーム、ハンドソープに加え口紅を含めたメイクアップ商品があり、その中でキャラクターとコラボした商品がありますから、掛け算みたいな感じですね。リップクリームも様々なタイプがありますし、マルチバームなどもあります。
「NEVER SAY NO」
まずはやってみよう
「明るく楽しく忙しく」の他に「NEVER SAY NO」とも社内に伝えています。「出来ない!」と言わず、何でもトライするスタンスでないと新しいものを生み出すことは不可能ですからね。お客様はユーザー目線で開発計画を仰るものですから、時には正直「それは無理だろ!」ということもありますよ(笑)。しかしそこで挑戦することで形になるもの、そこから広がっていくものもありますよね。
それから「コスメ」と「バス・トイレタリー」と「トイ・雑貨」、これらのコラボを全て行える会社はあまり無いので、それは有り難いですし、我々にとっての武器ですよね。ニッチな分野ですけど、掛け算の幅が一気に広がりますから。正規物も作れますし、容器も作れます。これからももっと新しいカテゴリーにチャレンジしていきたいですね。
「こんなことやれるの⁉」と思われているようなことをやりたいです。あとは中国国内の売り上げ向上ですね。中国の経済成長に内需という領域は確かにありますから、これを増やしていきたいです。ここに注力したいですね。インドも含めたASEANの経済成長と人口増大に合わせていきたいです。
靴屋さんの営業の話し
バンダイさんにもよく言いますけど、二人の靴屋さんの営業がいるとして、「インドではみんな裸足なんだから靴なんて売れないよ」と考える営業と、「靴を履いている人がこんなに少ないなら、インドでは靴が売れるはずだ!」と考える営業がいるはずです。弊社はいつだって後者でないといけないと思うんです。僕自身も「ほとんどの外国人はシャワーだからお風呂に入らないでしょう」とみんなに言われました。この10年ずっと言われていますよ(笑)。
でも、来日経験のある人も滞在している人も多いし、中国がお金持ちになればお風呂に入るようになると考えています。またコロナに関しても、日本は外国と比べてなんだかんだ傷が浅かったと思うんです。その理由として、清潔な生活があったことは大きいですし、入浴習慣や手洗いの習慣などは非常に重要なものですよね。こうした日本の良い文化を他国に伝えていきながら、我々の商品が売れていくのが大事だと考えています。文化の発信の傍らに寄り添う商品として、同時に「わくわくドキドキ」も提供していけたらいいなと思っています。
アジアだけではなく、
今後は北米にもマーケットを拡大していきたいです
最初は中国のみでした。上海に拠点を作って、ベトナムの事業所は今年(2023年)展開したばかりです。ただ現在は北米もバンダイさんなどを通じてOEMメーカーとして展開しようとしています。弊社は黒子であまり目立ってもいけないのですが、販売拠点として北米に事業所を作れたらいいなとは考えています。
何より海外市場を知れることが大きいと思いますし。米国は西から東、北から南で都市ごとにまるで違いますし、都市の数自体がもう凄く多いですし。アメリカ人はショッピングに対する娯楽性があると言うか、買い物大好きですよね。そこに今までになかった商品やアイテムを投入したいですね。
※このインタビューは2023年に行いました
「NEVER SAY NO」をモットーになんだかんだ僕に付いて来てくれていますし、社員には「こんな自分に付き合ってくれてありがとう」という思いしかないですね(笑)。一人じゃ何も出来ませんからね。あとは、ラオスに工場を出したんですが、ラオスってベトナムとタイに挟まれているせいかみんな自信が無いんですよ。国土も本州程度で。そのラオスに玩具と化粧品の街を作って、その街を、現地の人々が胸を張ってモノづくりが出来る拠点にしたいですね。「メイドインラオス」のプライド向上をサポートしていきたいですね。
OAKインターナショナル / 代表取締役社長
柏原泰則
昭和37年設立のビューロの確かな技術力を背景に、「コスメ」×「バス・トイレタリー」、「コスメ」×「トイ・雑貨」と数えきれない商品を製造する株式会社OAKインターナショナルの代表取締役社長。
大ヒット商品「キャラクターフィギュア入りバスボム」の考案者。今でも毎月中国やラオスに足を運び現場で指揮を振るっている。モットーは「明るく楽しく忙しく」「NEVER SAY NO」。